中小企業において、生産管理システム・販売管理システムなど、基幹システム導入・更改を成功させるための鉄則として、自社内にIT人材を育成することが重要です。
ここでいうIT人材というのは、「システム開発経験がある」「パソコンに詳しい」などということではありません。システム会社の方と対等に渡り合える人材のことをいいます。
システム会社とまともに渡り合える人材を育成する
基幹システムの導入・更改の際には、必ずシステム会社との意思疎通が必要となりますが、システム会社の中には、難しいIT用語やヨコモジを使って話をされる方が多くいらっしゃいます。システム開発に詳しくない方からすれば呪文のように聞こえてくることも少なくありません。そんな時、「難しいからよく分からない」「訊き直しても理解できない」で終わらせてしまえば、システム会社との意思疎通・コミュニケーションは失敗に終わります。
分からない時は「分かるまで何度でも訊く」「分かるまで調べる」「用語を勉強する」などの忍耐力、知的体力が必要なのです。
真に必要とされるIT人材像
私が考えるIT人材像は、下記の2つのスキルを保有する人材です。
1.自社のIT化を率先して推進できる人材
2.経営面からIT戦略を考えることができる人材
自社のIT化を率先して推進できる人材
業務が「属人化」することは、社員にとっても会社にとってもリスクになります。もし仮に、その業務を担当している社員が、病気などで急にいなくなるとしたらどうなりますか?マニュアルがなかったり、引継ぎ資料がない状態であれば、業務の安定化にかなりの時間を割かれるのではないでしょうか。
このような状況を防ぐため、ときには「自分の仕事が無くなるのを恐れて属人化から脱却できない」社員とも対峙し、そして「自社の属人的な業務を標準化していく」という視点のもとでIT化を推進できる人材が「IT人材」です。
また、自社のIT化を率先して推進するためには、社会の最新情報を仕入れることが必要です。さらに社外のITベンダーとの交渉力、社内の人間との交渉力も必要になります。ヒアリング力も欠かせません。
経営面からIT戦略を考えることができる人材
経営面からIT戦略を考えるためには、「どのようなIT戦略を採れば会社の売上最大化に最も貢献できるか」「収益最大化に最も貢献できるか」「このカスタマイズは本当に会社の売上・収益に貢献するのか」といった経営者目線でITを見ることができる必要があります。
ただ単に、「最先端のITであればよい」「現行業務に合わせておけば良い」「現場社員に言うとおりにしておけばよい」「自分の現状知識で理解できる範囲内のプログラミング言語のITにしておけばよい」という発想では、経営者目線は持てません。
IT人材は会社の未来を担う重要な人材
IT人材像にあります「自社のIT化を率先して推進できる」「経営面からIT戦略を考えることができる」スキルを持つ人材というのは、将来は、ITだけではなく、会社の経営層としても十分に通用する人材となります。
これらの能力を持った人材を机上の研修のみで育成することは困難です。研修のみで身につくスキルではなく、実際にシステム導入に合わせて学んでいく「OJT方式」が最もスキルアップの近道といえます。