IT投資費用、費用対効果がIT導入の制約・ネック事項に

商工組合中央金庫様より、2021年4月に、『中小企業のIT導入・活用状況に関する調査』が発表されました(回答企業数:4,890社)。

2年前の記事になりますが、有用な調査結果だと思いますので、調査結果を紐解いてみたいと思います。

調査結果の詳細は、商工組合中央金庫様『中小企業のIT導入・活用状況に関する調査』をご覧ください。

中小企業の約6割がIT導入済、または検討中

ITの導入・活用状況について、「実施している、または検討中」と回答した企業は、全体の59.5%となり、約6割の中小企業がIT化に向けたアクションを実施している結果となりました。

また、売上規模別、資本金規模別、従業員規模別のIT導入実施割合の調査結果も発表されました。

回答企業の中では、売上規模5億円以下の企業のうち47.2%、資本金規模1千万円以下の企業のうち51.6%、従業員規模5人以下の企業のうち39.9%が、IT導入・活用を実施・検討している結果となりました。規模の大きな中小企業だけでなく、比較的規模の小さな中小企業においても、IT導入・検討が進んでいることが明らかになりました。

IT導入の制約・ネック事項のトップは「人材の不足」

ITの導入活用を「実施・検討していない」と回答した企業について、IT導入の制約やネックになっている事項についての回答結果も発表されました。

回答のトップは「人材の不足(43.8%)」でした。続いて、「社内の体制や仕組みが不十分(33.8%)」「投資費用(ランニングコスト含む)(31.3%)」「費用対効果(17.6%)」という回答結果でした。

「費用対効果」の制約・ネック事項については、2017年7月の調査と比較して大幅に低下(44.1%→17.6%へ低下)していることが明らかになりました。

IT導入・DX推進は、着実な準備と計画的な遂行が重要

IT人材の育成は、一朝一夕にできるものではありません。IT人材の育成を経営課題として認識し、経営戦略として計画的・長期的に進めていく必要があります。

また、適切な投資費用、ランニングコストを見極めるためには、RFPの策定や、それに合わせた業務改革が欠かせません。RFP策定や業務改革のプロセスを通して、自社にとって真に必要なIT化、DXを見極めることが必要です。

IT導入の費用対効果の算定は、目測での数値化は可能です。しかし、最終的には、IT投資判断は、経営者・経営層の経営判断に委ねるところが大きく、まさに「IT課題は経営課題」であります。

基幹システムの更改や、大規模システムの導入、全社的なDXなど、企業にとってインパクトの大きなIT導入、DX推進を行う場合においては、しっかりと準備と検討を行い、計画的に進めていくことが求められます。

調査結果の詳細は、商工組合中央金庫様『中小企業のIT導入・活用状況に関する調査』をご覧ください。